連帯保証人の問題練習をしていて、気になるのがこちら。
まぁ、ここをスルーして「保証の知識」だけでも普通に問題は解けるんですが…調べてみました。
実は、連帯保証人には、
「委託を受けた保証人」
「委託を受けない保証人」の2種類が存在する。
宅建テキストではわざわざ教えてくれないが
「保証人」とは常に「委託を受けた保証人」を想定してる(気がする)
細かい話になりますが、現実世界で、委託を「受けた」「受けない」で扱いに違いが出てくるのは「求償権」の時です。
しかし宅建試験では「求償権」の問題じゃない時も「委託を受けた保証人」と毎回断ってくる。気になって仕方ない・・・
でも調べたことをまとめてみます。
目次
「委託を受けて」が出現した気になる過去問
ちなみに、「委託を受けて」が出てきた過去問はこちらです。
(長いので赤線部分だけご確認ください・・・)
AとBが1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は1/2ずつ)場合と、Dが主債務者として、Eに1,000万円の債務を負い、FはDから委託を受けてその債務の連帯保証人となっている場合、Aが債務を承認して時効が更新されてもBの連帯債務の時効の進行には影響しないが、Dが債務を承認して時効が更新された場合にはFの連帯保証債務に対しても時効更新の効力を生ずる。
〇か×か? (平成16年問06.4改)
・・・
・・・
・・・
正解:〇
⇒連帯債務での時効の更新は、他の債務者(B)の時効には影響しません
一方、連帯保証では、Dが債務の承認をし時効が更新されれば、Fの時効も更新されます。
委託ありと委託なし。2種類の「連帯保証人」とは?
そもそも驚いたのが、
「連帯保証人」には、
「委託を受けた保証人」と「委託を受けない保証人」の2種類がある
ということ。(こちらの方が詳しいです)
民法で出現する表現なんですね。
委託を受けた保証人の求償権 民法第459条
委託を受けない保証人の求償権 民法第462条
これを受けて、宅建試験では、これは「委託を受けた連帯保証人」の問題ですよ、と念を押していると思われますが・・・
ここで一番驚いたのが「委託を受けない連帯保証人」という存在。
「委託を受けない保証人」って実在する?
借金がある本人に頼まれてもいないのに、自分から「連帯保証人になってあげている状態」。
危険しかない気がしますが、どういうことなのか?
ちなみにこの「保証契約」は、借金した本人と結ぶ契約ではなく、保証人が債権者と結ぶ契約なので、本人をすっとばして、銀行と直接、保証契約を結ぶことは実際できるんですよね。
債権者から指名されて?声をかけられたとして、引き受けたら勝手に保証人になれます。
だから例えば、債権者が本人の知らないところで、こっそり親友に近づいて「彼はすごい借金あるので、連帯保証人になってもらえませんか? あなた彼と仲良いですよね」っと言って、連帯保証人にさせてしまうこともありえる、という感じでしょうか。
(債権者である銀行・消費者金融がこんなことするのかな…)
具体例は? 本人からの「委託を受けない保証人」ってどんな人?
ではどんな人が、本人の委託なしで保証人になってなるのかと調べてみたんですか、どんぴしゃの具定例は見つからなかった・・・
それらしい表現で見つけたのが、
というコメント。
もしもいるとしたら、
息子に多額の借金があることを知った母親が、息子を救いたいと債権者(銀行とか)と接触して連帯保証人に立候補する、というケースが考えられるそうです。
息子に「私が連帯保証人になるよ」と言ったら怒らせるおそれがあり、本人には直接かけあえなかったり・・・複雑な事情がある時でしょうか。
「委託を受けない」連帯保証人にメリットは全くない。
そもそも民法では、「委託を受けない保証人」を積極的に保護していません。主なところだと「委託を受けている保証人」なら手厚い「求償権」が期待できない。頼まれもしないのに、勝手に保証人やってるんだから保護しなくていいでしょう、という感じ。
全くメリットがない「委託を受けない保証人」になってしまう人は、「母親としての責任」「親友としての使命」のような思い詰めた理由があるのでは、ということでした。
現実は、本人から「委託を受けて」保証人になるのが普通です
現実では、保証人とは「本人から頼まれて」なるものです。
現在、銀行や金融機関がお金を貸す時は「保証人をつける」ように求めてきますから、お金を借りたいと思ったら保証人を探すべく、「委託された保証人」をつけるべく、奔走するはずです。
誰も保証人になんてなりたくないんですが、それでも本人に頼まれたら、家族や友人は断り切れずに引き受けてしまうことが多い。
本人に頼まれ納得した上で、銀行との保証契約書を交わす、というのが現実世界では一般的。
「委託を受けない連帯保証人」というケースはほぼ出会わないと思って良さそうです。あくまでも民法に書かれてる表現であって遭遇しない。トラブルになりそうですしね。
まとめ
・「委託を受けない連帯保証人」というのは、現実にはめったに存在しないということがわかった。
・テキストでも触れられていない。「保証人」とは「委託を受けた保証人」のことだと考えてよさそう。
・ただ試験では厳密な表現として、「委託を受けた保証人」という表現を差し込んできたのではないか・・・
こちらの方の記事も参考にさせていただきました。→http://blog.livedoor.jp/kosekeito/archives/minpou462jou.html