休日出勤、都内のOLランチは中国人の店ばかりになる

ラーメン

都内でOLをしていた頃、日曜出勤のランチは中華料理にすることが多かった。

雑居ビルのオフィス街には、いわゆる町中華が多い。しばらくして知ったのが、都内の中華料理は中国人がやっている店が多く、日本人の店にあたるのは珍しいそうだ。

そういえば、近くの中華料理店では、中国人のおばちゃんたちが接客をしてくれた。ししかも、みんながみんな小麦色の肌に茶髪、がっちりしていて女子プロレスラーみたいなのである。中国人というだけでもインパクト全開なのに、なぜさらに女子プロという個性を上乗せしているのか。謎である。愛想はないが威圧感はない。日本語は通じるようで(当たり前か)、ラーメンも餃子もボリュームがあり、どれもおいしい。しかし店員さんは我らお客と話している時こそ日本語だが、店員同士のフランクな会話は中国語で、ふいに耳にしてしまうと、あの特有の、怒鳴っているような大声にじゃっかんビクッとする。怒ってるわけじゃないんだろうけど、なんか、どきどき、そわそわして落ち着かない。

しかし店はいつも賑わっているのだ。餃子がおいしいと評判の名店らしい。シュッとしたビジネスマンやこぎれいなOLがこの小さくて年季の入った町中華に続々と入ってくる。私からしたら違和感満載だけど、トーキョーのオフィス人間ってのは、たくましく、堂々としているものである。田舎者はひそかにカルチャーショックを受けた。

2軒目:卵スープおいしい

土日の都心はたいていの店が休みで、なかなか入れる店がない。別の日に入ってみた中華料理店は、セットでついている卵スープがおいしい。フカヒレのような出汁がしっかりきいている。まぁ、まさかフカヒレじゃないだろうけど。(私フカヒレはコンビニスープでしか飲んだことない) ここは割りばしではなく、長い銀の箸を出されるので非常に食べにくい。らーめんを食べても、ホイコーローを食べても、つるつるすべって集中できない。労力のわりに食材は口に入ってこない。当時、私の昼休憩は50分しかなかった。銀の箸に苦戦しながらもどうにか完食し、店を飛び出すことになる。一度きてからは、もう来るのはやめようと誓うのだが、どういうわけか、(休日に空いてる店がないからだけど)うっかり入ってしまうということが起こる。記憶もほどよく薄れており、以前箸が使いにくかったのは気のせいだろうと頼んだ上海焼きそばは、前回以上に厳しいものだった。麺は箸からすべってつかめないし、箸が長いせいで持ち手のそばでぶつかり、カチカチと金属音をたてる。そうして、またしても、オフィスに戻るころが今度は昼休憩の50分を過ぎてしまっていた。その日は私ともう一人の先輩しか出勤しておらず、先輩にあの店の箸が食べにくくて、上海やきそばも脂っぽくて遅くなってしまいました、と苦い顔で説明してみたら、「ああ、その箸は使いにくいよね」と同意をもらった。これをもって遅刻の話はうやむやになり、許しを得て事なきを得た。・・・ん? 許してくれたのかな? 我ながらひどいOLである。

3軒目:チャーハンおいしい

それからまもなくして休日に空いていて、割りばしを出してくれる第三の中華料理店を見つけることができた。そこはでっかいグラスに麦茶をなみなみと注いでくれて、チャーハンも塩加減がおいしく、セットの付け合わせのザーサイも絶妙。しかも650円という町中華である。

店員は中国人のおじさんだが、客が数人しかおらずヒマすぎるせいか、店に入ってから注文するまでずっと私の動きを凝視している。目線が気になる。そのかいもあってか、私がメニューから顔を上げると、即効でオーダーを取りに来てくれるのだが。注文を受けたが最後、おじさんは私への興味をなくし、レジの小銭を数え始める。店のテレビでは「NHKのど自慢」が流れている。素人さんの演歌を聴きながら、長いスプーンで黙々とチャーハンを食べる。がぶがぶ麦茶を飲んで、割りばしでザーサイをいただく。店を出て、散歩すると昼休憩50分におさまる。しばらくこれが都内の中華料理OLルーティンになった。オーダー前におじさんが凝視してくるのは毎回で気になるが、不思議と慣れつつある。人間は慣れる生きもの。そのうちもっと慣れるだろう。めでだしめでたし。

 

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