「契約」「使用貸借」の学習で登場する「諾成契約(だくせい契約)」。
契約書がなくてもお互いの合意だけで成立する契約、口約束だけで成立する契約、と聞いてめちゃくちゃ驚いた。
これってマジなのか? 話すだけで成立するって「俺は契約するなんて言ってないぞ!」とか言われたらどうなっちゃうのか?
ということで、調べたあれこれをメモします。
諾成契約は、トラブルが頻発する危ない契約。
ほぼ使われていない。というか、実務では使っちゃいけない。
そりゃそうだ。
「じゃあ約束ね!」とか口だけでやってるとトラブルになるから、普通の大人は、きちんと書類を書いて約束や契約をしています。あくまで民法の理論上の話なんですね。
(実態がないなら試験で出題しないでほしいけど……)
目次
「諾成契約」の「口だけで契約できちゃう」という軽さが不思議だった
まず言葉の意味を調べると…
諾成(だくせい)
「諾(だく)」とは… 引き受けること、承知すること
ということでした。
これが示す通り、
諾成契約とは『当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約』をいいます。
契約書をつくらなくても、物を渡さなくても成立しちゃいます。
(物を引き渡さないと成立しない契約は要物契約)
なんか軽いですよね。気楽ですね。これでも立派な契約として扱われるというのが疑問でした。
ちなみに諾成契約は英語圏でもあるのか、どういうのかというと
・consensual contract 意見の一致した契約
(Consensusは意見の一致、同意)
・verbal contract 口頭の契約、話し言葉の契約
確かに、書面とか記録とかのニュアンスはないですね。やはり口頭だけで契約は成立します。
実務では契約書を作って契約する運用になっている。
大丈夫なんかい?とさらに調べていたらリアルな実態を見つけました。
理論上は書面がいらない契約なんですが、
不動産屋さんでは売買金額、手付金、決済日、引き渡しの条件などなどを決めて、「契約書を作って意思を確認する」ところまでやって契約の成立としているそうです。
実務では諾成契約はありえないんですね。
そうですよね。なんだかほっとしました・・・
契約としては有効だが、裁判になると話は別
そして、やはりというか「諾成契約」をしてしまうと厄介なのは裁判だそうです。
口頭の約束でも契約自体は成立してるんですが、
契約書がないので証明するものがなく、相手を追及できない。
メール、LINE、録音などの別の証拠を用意する必要があります。(正確な参考サイト)
某議員の「諾成契約だから、きちんとした契約だ!」発言は?
そういえば以前ニュースで見たやつで、ある議員が不自然な金の流れを突っ込まれ「書面を見せろ」と追及されると「諾成契約だから書面はないが、れっきとした契約だ!」と開き直っていました。
当時の私は「口約束でも契約だからオッケーなのか」と素直に感心していましたが、やっぱりダメなんですね、あれ。
というか、めちゃくちゃトラブルになってますもんね。突っ込まれて。(でも結局は逃げられるのかもしれない)
偉い人でも、重要な契約は書面にしないとダメです。
まとめ:諾成契約はトラブルが多数発生している危険な契約
諾成契約は法律で認められた契約ですが、実際に口約束だけだとトラブルになりがち。
だから実務ではきちんと契約書を作っています。安心してください。
口約束だけでOK!というのは、あくまでテキスト上での理論の説明でした。
これまで通り大事な約束や契約では書面をつくろう、という当たり前の結論にたどり着きました。
さぁ、過去問解こうっと、、、