また宅建試験の話です。
『その他の法令』では、それぞれの法令の詳しい内容はほぼ出題されません。
なので、
【〇〇法では ××をする場合 ▲▲に許可をもらう】
という「法令名 と 許可権者」をセットで暗記すれば解けるそうです。

ほとんどが「都道府県知事の許可をもらう」でOKなので、「例外」を覚えることになりますよね。
で、ざーっと暗記に励んでいたんですが、私が「よーわからん」となってしまったのが「生産緑地法」でしたよ。

【 生産緑地法 では 市町村長 に許可をもらう 】
なぜ他の法令たちは都道府県知事に許可をもらうところを、これはわざわざ市町村長に許可をもらわなければならんのか?

謎すぎて頭がわーとなったので調べました。
ざっくり理解したのでざっくり書きます。(正確さを求めるなら他に良いサイトがあるでしょう)
Q、「生産緑地」とは ⇒「住宅地にポツンとある農地」
Q、なぜ「市町村長」の許可? ⇒ わかりません! (調べたくせに…)
Q、実際に一般人が「市町村長に許可を求める」ことはある?⇒ 基本は「ない」。
(業者があらかじめ「生産緑地の指定を解除する手続きをしておいた土地」を買うことになるから)
それでは、詳しい内容です。
目次
Q、「生産緑地法」の「生産緑地」って何なの?
結論:「生産緑地」とは「農地」のことです。
もっと詳しく書くと「生産緑地」とは「都市部にある農地」のことで

法的には「市街化区域にある農地」を指しています。
まぁ、「大都会にぽつんとある農地」って感じです。

ややこしいな!
すでに「市街地農地」「都市農地」とかの言葉はすでに別で使われているから仕方ないのかもしれません。
だからって「生産緑地」と名付けるとは・・・

まぁ…直感的にわかりにくいですよね。
それでネーミングの由来をムリヤリ想像してみました。

どうでしょうか。覚えられそうでしょうか。
ムリそうな時は、近所を歩いて草むらの空き地や畑を探してみましょう。
意外に近くにあります。それでも見つかんねぇという方は、大都会東京の世田谷区に行って草むら農地を探してみましょう。
写真:
標識がたっています。そう、生産緑地のイメージができそうじゃないですか?
(注:ここから先は、宅建試験には役に立ちそうもない話になります)
Q、「生産緑地法」は何のためにつくられた?
ざっくり言うと、街の中にも自然を残すためです。(予想通りすぎ?)
あれは、さかのぼること1974年(→本来はもっと正しい説明が必要ですが)のことでした。都会には人が集まり、畑や自然をガンガンつぶして住宅が建てられていました。
しかし、いざそこに住んだ人たちは「家のまわりに自然がないのは嫌だな」と思い始めた。

健康にも悪いし、子どもの教育に良くないわよね!みたいな。
それで都会の農地や草むらとかの緑がこれ以上なくならないように、「都市にある農地」を「生産緑地」と呼んであれこれしていた生産緑地法に目を付けます。すでにあった「生産緑地法」を都合よく改正し、都市での緑地や農業を守るようにしました。
Q、じゃあ「都会にある農地」はすべて「生産緑地」って呼ぶの?
違う。市町村とかに「生産緑地」として認められた農地だけ。
農家の人が「私の農地を生産緑地に指定してください!」と役所に連絡すると、
役所(市役所の都市計画課とか公園緑地課とか)の人が審査を始めます。
何枚も書類を提出させたり、実際に農地まわりの住宅環境を確認しにきたり。合格すると晴れて「生産緑地」になることができます。
では、この農民はなぜ自分の土地を「生産緑地」にしたいのか?
「生産緑地」に指定されるとメリットはある?
農地が「生産緑地」に指定されると持ち主には良いことがあるんです。
「生産緑地」に指定されるメリット
税金が安くなります。
固定資産税と相続税がエグイぐらい安くなります。
支払う税金が100分の1、数百分の1になる方もいます。しかも、この税の優遇制度が30年続くとなると、ぜひ指定してもらいたいというわけ。
「生産緑地」に指定されるための条件は?
いろいろありますが、この農地で「農業を30年間続ける」ことが条件です。
途中で農業をやめたくなり、畑を潰してマンション建てたい!駐車場にしたい!とか思ってもダメです。とにかく30年は野菜や米をつくり続ける覚悟が必要です。重たい・・・
仮に「どうしても農業やめて、マンション建てたい!」とかしようものなら、それまで安くしてもらっていた税金分を、さかのぼってまとめて支払わなければなりません。
回り道しましたが、ここでようやく最初の疑問につながります。
なぜ「生産緑地」に家を建てる時は、市町村長の許可がいるの?
というわけで、生産緑地は「農地」として残しておきたい土地だからです。
しかも、この土地で農地や畑として30年間農業をやるという約束で、税を100分の1も安くして優遇している。気が変わって家を建てるなんて許さない。市長は許さない。
Q、じゃあなぜ都道府県知事ではなく、市町村長の許可なのか?
これ調べたけど理由が見つからなかった。
宅建試験での暗記で一番困るのが「県か市か問題」。
たしかにより地域に密着した業務をするのが市町村である、といえなくもないですが、実際のところはわかりません。
もう丸暗記するしかないことが確定。棒暗記です。暗記マシーンです。
はい、生産緑地は市町村長!

う~ん、暗記のコツは、
(もうね、このケースに限ったわけではないですが、偉い大学教授が言ってました。
「どんな基準でこの業務は都道府県がやるか? 市町村がやるのか? という役割分担の基準はあいまいで明確な理由はわからない」
どうせ上の人間の権力争いが理由でしょうけど…)
結論は? 私のための「ざっくり生産緑地法メモ」
・「生産緑地」とは、「都会にある農地」のこと。
・役所の人たちは、ただの農地のことを「生産緑地」と呼んでいる。
・市役所の都市計画課とか公園緑地課の人の仕事である。
・なぜ「市町村長」の許可がいるのかは、わからない。たぶん上の人間の事情。
・生産緑地は、歩いているとそのへんにある。草むらの土地に標識が立っている
初心者の私よ、少しは気が済んだでしょうか・・・
【余談ですが・・・】
とはいえ、現実に生産緑地に家を建てるため、許可をもらうことはある?
売りに出されている都市の農地なら、すでに業者が「生産緑地の指定を解除」した土地を売っているので普通に買うだけでいい。通常、一般人があれこれする機会はないそうです。
しかしこんな時は、一般人でも許可をもらう手続きをすることもある
例えば、死んだ祖母が持っていた土地を相続したら「生産緑地」の指定を受けていた、という場合。自分は農業しないから、家を建てたいとなってもすぐには建てられないので、役所の許可が必要になります。許可といいますか、まず生産緑地の指定を解除してもらう必要があるんです。
「生産緑地の解除」には時間がかかる。(6カ月くらい)
手続きさえすれば、それまで優遇されていた税金を払うことはありませんが、そうはいっても、「生産緑地の解除」には時間がかかります。
まず市役所に「農業はやめるから「生産緑地」の指定を解除してくれ」
↓
市役所「そこは農業やってほしい土地だから、市で買い取れるか検討させて」
↓
市役所「やっぱ市で買い取るのは無理だわ。でも、誰か市民で農業したい人いるかもしれんから、聞いてみるからもうしばらく待って」
↓
市役所「やっぱ誰も農業したい人いなかったわ。この農地あなたに返すわ。もう農業しなくていいから」
↓
この土地に家を建ててもいい
という手順を踏まなければなりません。
途中で、誰かが土地を買ってくれたらどうなるかって? それは土地はあきらめなければなりませんが、実は、市も市民もまず買いません。
でも、この流れをいちいちやらなきゃならない。
自分の土地を自由に使えるようになるまで6カ月待たなければならないんです。