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赤羽めし。おいしい焼き鳥屋さんで女子を採点する大学生に青春を感じた

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午後から始めた赤羽散歩。1番街で夜食に焼き鳥をいただくことにした。(去年の5月の話です)

この焼き鳥店さんは、1番街ゲートから道なりに歩いている時に見つけた。実をいうと、わかりやすすぎる場所のせいで入るのに躊躇したのだが、結局ほかはどこも満席だし、店から漂う香ばしい焼き鳥の煙も決め手になって入ってみた。

安くてうまい焼き鳥屋さんだった。

チャレンジのつもりだったが大正解。

メニューは手ごろな価格だし、焼き鳥は脂がのっていて、どれもおいしい。普通これぐらいの価格だと、小さくてカチカチの鶏肉が3、4個ついているものだが大間違い。身は柔らかく、食べごたえがある。サイドメニューの味付けも満足だ。

テーブルにあるタッチパネルで注文するのでストレスもない。がんがん頼んだ。

一息ついて店内を見ると、客は若い人が多い。なるほど。納得。カウンターでひとり、スマホ片手に夜食を食べている子もいる。

そうしていると後ろの方から男子大学生(2人)の話し声が聞こえてきた。

大学生の会話の内容がクリアに聞きとれる

「この間、〇〇学部のAちゃんと話したんだけど、その時、いい雰囲気になったんだよね」

だるそうな、でもどこか得意げな声。

「その二日後に偶然Aちゃんを見かけたの。そしたらさ、髪切ってたんだよね。ショートにしてた」

「うんうん」

相方の適当な相槌も聞こえる。

「でね、俺のこと好きなのかなと思って。それだと困るなぁー」

・・・ん?  なになに?

一瞬何を言ってるのかわからなかった。

 

相方がそっけなくたしなめる。「そうかぁ? たまたまじゃねぇ?」

「ゼッタイ俺にアピールしてんだよ。前に話した時に俺さ、女の子の髪は短い方が好きだ、って言ったんだもん」

「うん」

「今このタイミングで髪切るの、絶対そうだって」

「・・・違うと思うけどなぁー」

 

・・・。 相方は気がのらないようだ。

気になって仕方ない。うぬぼれ学生はどんな人相・・・?

しかし本人は信じて疑わないらしく、さらに続ける。

「Aちゃんはかわいいから、なくはないんだよな」

「お前、彼女いるんだからそういうこというのやめろよ」

・・・。 どういうことだよ?

なくはない? 彼女いる?

(一瞬話せば髪切りたくなっちゃうような素敵な人なのですかあなたは。)

 

ここでもう我慢の限界。この大学生がどんな顔をしているのか気になって仕方ない。(はい。ただゲスい外野の私です)

さりげなさを装って、ちらっと振り向いてしまった。一瞬だけ確認できた。

「俺のこと好きなんじゃね男」は、黒いTシャツに黒いキャップ。小太り体型。Tシャツからのぞいた腕が太くてたるんでるのがわかる。キャップが小さすぎるのか、頭が窮屈そう。

対する相方はグレーのパーカーでシュッとしてる。顔は見えなかった。

一見でこぼこな二人。だがすごく気が合っている。大学のマッチング能力おそるべし。大学行く価値ある。

女子たちへの総評が続く

そうしていると唐突に、黒T男子は別の女子の話を始めた。ショートにしたAちゃんにはそれほど興味もなかったらしい。脈絡もないのが黒Tの個性。

「▽▽部のBちゃん(女子)さ、リアクション遅くね?」

「俺話したことないから知らないわ」

ラインして既読ついてんのに、返信がすぐ来ない。ひどいと次の日とかなの

「遅っ」

「Cちゃんとか、2分でくるよ。あれが普通」

注: 今度のCちゃんも女子です。

「送信押していつ読むかなと思うと、もう既読ついて返事でてる。 はやすぎて、はやっ!ってなる」

「それはウケる! 張り付いてんのかっ!」

「ラリーが早くて俺も逆に焦る」

2人、ここで大爆笑。

「あいつはわかってる! AちゃんもCを見習え!」

ってか、最初のショートのAコ、また出て来るんかい! まだ覚えてたんか!

大学生、愛(のようなもの)を叫ぶ

そして、ここで黒Tが大きな声で叫んだ。

「ライン見たら、すぐ返すのが常識だろーー!」

 

私と友人は無言で目を合わせた。そして

「そのAちゃんもオマエ以外には秒で返してるわ! オマエが眼中にないから返事が遅いんだべ。

つーか、ラインすぐ返すとかヒマか! 大学生か! おめえは!」

と振り向いて叫んだ。

 

なんてことはせず、ほとんど残っていないウーロン茶のジョッキを持ち上げて一口飲んだ。

 

黒T、まったく相手にされてないのに、ショートの子に未練タラタラなんだな・・・

ん? てゆーか、そもそもオマエ、彼女いるんだろ・・・

その後も大きな声で延々と続くので、聞いているのがいたたまれなくなり店を出た。

貴重な最先端の大学生活を垣間見た

もともと大学生は無邪気と相場が決まっていたが、昨今の成人は真面目になったとニュースが伝えているので、こんな大学生はすでに絶滅していたと思っていた。が、いた。赤羽にはいた。

 

ふと友人につぶやいた。

「うちらもさ、大学生の頃、あんなんだったっけ?」

「うーん・・・あそこまでひどくはないんじゃん?」

 

確かに。ここまで「ザ・大学生」な大学生活は送れていなかった気がする。

 

口には出さなかったけど二人とも「青春っていいな。うらやましいな」と(ちょっとだけ)思った。

店を出ると、服からは焼き鳥のにおいがした。

大人らしく赤羽を後にしました

帰りの駅までの道を歩いていると、昼間買えなかった行列の和菓子屋さんがまだ開いていた。気分がよくなり、一際目立っていた大きなおはぎを買った。手のひらぐらいの大きさで、ひとつ入れると団子用の容器がいっぱいになった。

大人の買い物って感じがする。どうだ大学生。(単にばばあの買い物な気もするが)

何が言いたいかって、控えめにいって最高ですよ。赤羽は。

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