今回、過去問で気になったのは「損害賠償権を行使する」という一文です。
気軽にできそうな感じで書かれてますが、具体的に何をすれば行使したことになるのか、どんなことをさしているのか・・・・?
について、調べてしまったので備忘録を残します。
「損害賠償請求権を行使する」とは「相手との交渉を終え、お金を受け取った」ということ。
まだ途中、手続き中である、交渉している段階なら「行使した」とは言えない。
「実際にお金(賠償金)をもらう」までたどり着いたら「行使した」ことになる。
これがでてくるのは、こちらの過去問です。
この問題は「時効の問題」ですよね。
「不法行為」と「損害賠償権の時効」の複合問題。
不動産会社で働くと社用車で移動することが増えるが、そこで事故に遭ってしまった時に、自分の社員に知っておいてほしい知識なんでしょうね。
・損害賠償請求権には時効がある
・その時効の年数を知ってますか?
をきいている問題です。
3年と20年 の数字を使って解きます。
(相手を知った時から3年 または 事故発生から20年)
・・・というのは問題集でもさんざん解説されているので毎回正解はわかるんですが…
ちなみに根拠となる民法の条文がこちら。
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
あ、ここから先は宅建試験とは関係ない範囲になります・・・興味で走ってるだけ…
目次
時効がくる前に「行使する」ためには何しなきゃいけない?
しかし、私が気になったのは「損害賠償請求権を行使する」とは、具体的に何をしたら行使したことになるのか?ということです。
で、調べてみましたが、ずばり書いてあるサイトが見つからず・・・
勝手に想像してまとめたのが、冒頭にも書いたこちらです。
「損害賠償請求権を行使した」とは「相手との交渉手続きを終えてお金を受け取った」ということ。
それまでの途中の手続きしている間、交渉している段階のことは「行使している」とは言わない。
「実際にお金(賠償金)をもらう」まで終えて「行使した」ことになる。
・・・わかる範囲で自分のために解説します。
「保険会社に連絡した」「示談の交渉中」では、時効を中断できない = 権利を行使したことにならない!?
交通事故にあうと、相手(例:加害者)からお金をもらうまでに膨大な手続きが必要ですよね。
警察に連絡して事故証明をもらったり、自分や相手の保険会社に連絡したり、場合によっては医者の診断書がいるし、交渉がこじれたら弁護士を頼むこともある。
どれも大変な動きなので、この中のどれか1つ、例えば「保険会社に連絡した」時点で「損害賠償請求権を行使した」ことになる、=3年の消滅時効を止めることができるのかと思ったんですが、違いました。
「保険会社に手続きを申し込んだ」「示談交渉を始めた」ことは「権利を行使」していることにならないそうです。時効の3年カウントダウンは進んだままなんです。
これは驚いた。 結構、面倒くさいんだなと思いました。
交渉を終えて、さらに「お金をもらう」まで完了して行使した、といえるようです。
なので仮に示談の交渉が長引いているうちに3年たってしまったら、もう損害賠償請求権はなくなってしまう。相手からお金をもらうことができません。
では、どうすればいいのかというと、
「いくらお金(賠償金)をもらいましょう」という結論が出るまでに、3年以上かかりそうなら、「時効」を止める手続きをする必要が出てきます。
時効をストップするための手続き
ここからは宅建試験でお馴染みの知識でした。
宅建テキスト「消滅時効」の章で学習した「時効の中断」の話と合流します。
損害賠償請求権の話をしていましたが、ここからはあの「時効の中断」で学んだ知識を使うわけです。
具体的な方法をいくつか書きますと…
・裁判を起こす
・相手からお金の一部を仮払いしてもらう
・保険会社からお金を受け取る
・催告する(「催告」=相手に内容証明郵便を送る、すると時効が6カ月延びる)
~
などのどれか1つをすると、(相手が認めたとみなされ)
時効が3年延びます。時効はまた0にリセットされ、そこから3年。
ちなみに、裁判を起こすのは大変なので、まずは「催告」をして時効を延長する方法が現実的だそうです。
まとめ
さて、いろいろありましたが今回の過去問は
・損害賠償請求権には「時効がある」。
・3年以内にお金をもらうか、長くかかりそうなら、「時効の中断」の手続きをしなければいけない
交通事故に遭った時にどうすればいいかの話でしたね。注意しないと、お金を請求する権利がなくなってしまうという注意喚起なんでしょうね。